巷にあふれる行動経済学ですが、学ぶことのメリットって何なのでしょう?
実際に様々なメリットがりあますが、私感で総じて言うと「お金が増えること」と「幸福感が高まること」の2つです。
「え?どういうこと?」と思われるかもしれません。 どうしてそうなるのか?
なにがこの2大メリット(お金と幸福感)につながるのか、具体的なメリット6選をあげて説明し解説していきます。
1.「お金が増える!」
行動経済学は、リアルに経済に直結する話です。初心者でも簡単に学べることができ、尚且つとてもおもしろいです。
人々が経済にどのように関わるのかの行動パターンや思考パターンを知ることで、様々な部分に活用・応用できます。
お金が増えるとはどういうことなのか、いっしょに学んでいきましょう。
1.1 メリット1:売上があがる
もしあなたがネットで商品を販売していたり、店舗経営をしているような販売ビジネスをされてる様でしたら、それは行動経済学を知ることで大きなチャンスになります。行動経済学には売上がアップする様々な方法が語られています。
一部例を挙げると、下記の様なものがあります。
- 最初に高額商品を提示することで、そのあとの商品が安く感じられる効果
- メニューに少数のおすすめ商品やパッケージを用意することで、消費者が商品を選びやすくする効果
- 他の人が多く購入している商品やサービスを提示し、「自分もそれを選ぶべきだ」と感じさせる効果
日本人に人気の企業といえば、Appleとスターバックスがあると思います。
ではこの2つの企業は、どのように行動経済学を使っているのでしょう。
1.1.1 Appleはどう「行動経済学」を使っているのか?
Appleはさまざまな行動経済学を使って巧みにマーケティングしています。
①ブランドイメージ
iphoneのリンゴの位置は、なぜ上のほうにあるのでしょうか?
これは、ロゴは上に位置していた方がブランドの「訴求力が高い」と感じます。イコール「優れている」と感じやすくなるのです。
これは飲料のボトルでも同様で、
A:背の高いスリムでラベル位置(ロゴ)が高いボトル
B:背が低く太めでラベル位置(ロゴ)が低いボトル
では、Aの方が「高級感」「権威」を感じます。
逆にBは「安心感」「親しみやすさ」を感じます。
※最近のiphoneは、リンゴの位置は中央部に変更されているようです。
②中間モデルをえらびやすくするラインナップ
アップルの製品ラインナップでは、上位モデルに対して少しだけ性能や機能を追加する形で価格が上昇するケースが多いです。たとえば、iPhoneであれば、ストレージ容量が128GB、256GB、512GBのように設定されています。この場合、中間の256GBモデルが「お得感」を感じやすく、多くのユーザーがこれを選ぶ傾向があります。
これは、最上位の512GBモデルが「必要以上に高価」に見える一方で、エントリーモデルの128GBが「少し物足りない」と感じられるように意図的に設計されていると考えられます。
③Apple独自の世界観を体験させる
Appleは、機器とサービスを統合した「ウォールドガーデン(壁に囲まれた庭)」と呼ばれるシステムを構築しました。これにより、ユーザーは現状を維持し、アップル製品やサービスを継続的に利用する傾向が強まりました。
その戦略は膨大な利益を生み出し、同社を巨大企業に成長させました。
1.1.2 スターバックスはどう「行動経済学」を使っているのか?
では今度はスタバを見てみましょう。これまた、いろんな行動経済学を使っています。
①なぜサイズは、「S]「M]「L]ではないのか?
元々は、現在の形式(カフェ)の原点であるイタリアのエスプレッソバーの雰囲気を出すための様ですが、これが他とは違うイメージを与えることに寄与しています。
スタバは、コンセプトにサードプレイス(あなたにとって、家と職場につづく第3の場所になる)をかかげています。
店内も他コーヒーチェーン店と異なり、全店同じ内装、全店同じテーブルとイスではありません。
店ごとの独自の雰囲気があり、サイズ一つ取っても世間一般とちがうモノであることから、他社との差別化になっています。
結果として、これが消費者に「高品質で特別な体験」を連想させ、高い価格設定が顧客基準となり(ここはそういうもの)、消費者はスターバックスの価格を受け入れやすくなります。
②愛着がわき、ファンになる
スターバックスは、オリジナルのタンブラーやマグカップを販売し、消費者がこれらを所有することでブランドへの愛着を深めています。自分で選んだ商品を所有することで、その価値を高く評価する人の心理を活用しています
③メニューの工夫
スターバックスでは、季節ごとに限定メニューを数点だけ追加することで選択肢を絞り、「おすすめ」や「期間限定」の表示することで消費者が選択しやすくなる様、工夫しています。
さらに、看板におすすめのドリンクが目立つように表示されているため、来店客は迷うことなく人気商品を選びやすくなり、売上増加に繋がっています。
1.2 (売上を上げるための)営業で使える行動経済学
もしあなたが営業マンなら、悩みのひとつに「高額の商品だから、買ってもらえないのでは?」があるのではないでしょうか?
ただ世の中には、高額の商品でもお客様によろこんで買っていただいている事例がたくさんあります。
この違いは、何なのでしょうか? では、この謎を行動経済学で解いていきましょう!
①買わない理由を明確にしてみる
買わない理由を考えてみると、ほぼ下記3点になると思います。
- 理由1:高いから
- 理由2:(欲しい気もするが)今でなくてもいい
- 理由3:他社と比較してみたい
②理由1:高いから買わない の対策
結論から言うと、高い理由をきちんと説明し、納得してもらう。
では、その理由はどう説明したらいいのでしょう?
答えはズバリ、「高いだけの価値があるから」の一択です。
それ以外は無理でしょう。
価値を納得させるセールストーク(すべて行動経済学に基づいています)
・(売る側が)商品に自信を持つ:これだけの値段の商品だからその価値があるのはあたりまえ。
「これだけの価値がある商品ですから、この価格は当然ですね。」
・他のたくさんの方々が、購入されてますよ (購入者のよろこびの声を見せたり伝えたりする)
・本気でない方には、買わなくて結構 (強気スタンスの営業)
「生活を改善する気がないのですね。価値がご理解いただけないのであれば、結構です。」
・高額が負担になっている方には、分割払いの方法を紹介する
(Appleが近年、手数料無料の分割払いを可能としているのは、この手法です)
また、高い金額を数か月・数週間で割った場合は高くないと考えさせる(数か月単位の購入)
③理由2:(欲しい気もするが)今でなくてもいい の対策
結論から言うと、購入後のすばらしい未来をイメージさせ体感させる。
いままでの現状を否定せず、今後のいい未来を想像させる。
「この商品を購入して、現状が解決した未来を想像してみてください。」
逆に言うと、購入しない場合は、現状は何も変わりません。
購入により現状が改善されるのであれば、すぐにでも改善するべきことを説明する。
(すぐに改善する場合としない場合とでは、未来に大きな差が生じる)
④理由3:他社と比較したい の対策
結論から言うと、こう言われないための事前対策が必要になります。
事前対策とは、「あなたから買いたい」といってもらうことです。
それには、超重要なステップがあります。
一つ目は「関係性構築」、二つ目は「顧客教育」です。
・「関係性構築」とは、顧客に信頼されて「何かあったらあなたに相談したい」
という関係性を作ることです。
・「顧客教育」とは、顧客があなたの商品を使うとどんなベネフィットを受け取れるのかを理解させ、
その商品の必要性を感じる状態にすること。
「関係性構築」が十分にできていないのに、「顧客教育」をしてしまうとどうなるのでしょうか?
ハイ!そうです。「他社と比較して決めたい」と言われます!
とは言え、完全差別化が難しい昨今、「比較したい」と言われてしまう事はあります。
ではその場合どうしたらいいのでしょうか?
「どうぞ、色々比較してみて下さい。 高い商品ですので、比較されるのは当然と思います」
と、反論なしにお客さんの考えを受け止めます。
そのうえで、「ところで、お客様は何を望んでおられるのですか?」や、さらに
「そもそも、なぜそれが必要なのですか??」となどと、どんどん深堀してみてください。
そのうえで、そのお客さんの悩みに決して反論せず、共感してください。
そうすることで、他社商品に大きな違いが無ければ、しっかり思いを聞いてくれるあなたの所へ必ず戻ってきます。
1.2 メリット2:貯金・節約ができる
行動経済学を学ぶと、人が将来の報酬や利益よりも目の前の報酬や利益を高く評価する傾向があることがわかります。
このような内容などを理解し、対策を立てればだれでも節約や貯金ができるようになります。
対策としては、下記のようなものがあります。
- 自動貯蓄の利用(強制貯蓄)
- 「失う利益を考える」ことで将来の利益を優先する
- 予算を小分けにして使い過ぎを防ぐ(メンタル・アカウンティング)
- 現金使用で支出の実感を高める
1.3 メリット3:投資に失敗しにくくなる
投資で陥りやすい失敗の傾向は研究されていて、FXや株式などの投資にも役立ちます。
投資に失敗するか否かは、(人はどんな行動をとりやすいか などの)行動経済学を知っていると知らないとでは、結果は大きく変わってきます。
わたしは株式に投資していますが、行動経済学で人の心理を学んだうえで、どうリスク管理するかの手法(マイルール)を確立しました。 そのうえで、どんなことがあってもルールを守るメンタルを鍛えました。
そうすることで、劇的な勝率UPと利確幅が増やすことができました。
2.「幸福感が高まる」
何に幸福を感じるかは人それぞれですが、行動経済学を知れば幸福感までコントロールできるようになります。
単にお金を増やすだけでは、真の幸福感を得られにくい(大金を得た直後はおおきな幸福感に満たされるが、1年後にはほぼ以前と同じ幸福感に戻っている)という研究結果があります。
行動経済学を学んで脳の思考のクセを知り、意図的に別の考え方することによって、周りの見え方が変化し、結果幸福感を高めることができます。
2.1 メリット4:自分を他人と比べることをやめる
あなたは、年収いくらほしいですか?1000万ですか?1億ですか?それ以上ですか?
仮にあなたがその年収を達成しても、上には上が必ずいます。
周りの人は、きっと年収の高い人たちばかりになり、その人達と比較してもっと欲しいと思っているかもしれません。
他人との比較を減らし、自分の基準で目標や成果を評価する習慣を身につけましょう。例えば、SNSで他人の成功や豊かさを見て落ち込むのではなく、自分の過去の成長と比較して「昨日より今日の自分が少しでも前進しているか」を意識してください。行動経済学の知識を使って、他人との比較が不要なものや無意味なものに気づき、自己基準での幸福感を育てることが可能です。
2.2 メリット5:自己決定とコントロール感
たった1度きりの人生、自分の好きなように生きたいですよね?
でも、今のあなたにそれができていますか? 100%は無理でも、自分のできる範囲で自分で決定し、自分の行動に責任を持つことによって、人生の幸福感が増していきます。
自分で選んだ道を歩むことが幸福感に繋がると理解し、自己決定の場を増やしてください。
仕事や生活の選択肢がある場合、なるべく自分で決められる範囲を広げていきましょう。
たとえば、毎日のルーチンを自分好みにアレンジしたり、仕事の進め方に自分なりの工夫を取り入れたりすると、自分でコントロールできている感覚が増し、幸福感が向上します。
2.3 メリット6:感謝の気持ちとポジティブなリフレーミング
あなたは、「家がもっとお金持ちだったらいいのに」とか「あれがほしい、これがほしい」とか、無いものにいつも意識をフォーカスしていませんか?
無いものにフォーカスしても、キリがありません。あるものにフォーカスすることで、感謝の気持ちが生まれ世界観が変わります。
感謝の習慣を取り入れ、毎日感謝できることを意識することで幸福感を高めます。
日記などに毎日「今日感謝できること」を書き出すと、些細なことにも喜びや幸福を感じやすくなります。
また、ネガティブな出来事も「学びがあった」「成長できた」とポジティブに捉え直すリフレーミングを意識的に行うことで、どんな状況でも幸福感を保ちやすくなります。
3. 「行動経済学」を学ぶおすすめの本
「人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学」 松本健太郎 著 評価:★★★★
データサイエンティストの松本健太郎氏が、身近な世の中のできごと(炎上した事例とか)を、おもしろ分析した本。
人々の持つ「悪の顔」やいかに大衆が不合意的な行動をしているのかが書かれており、おもしろく読める。
(序章:ヒット商品には、かならず「悪」の顔がある など)
星4をつけたが、もしあなたがマーケターなら、星5である。
「禁断のセールスコピーライティング」 神田昌典 著 評価:★★★★
最初にお断りしておきますが、この本は行動経済学の本ではありません!!
日本一のマーケターと言われる神田昌典さんの古めの本。
基本はセールスコピーライティングの本であるが、
第4章 「禁断のセールス」編
「優秀な営業マン」とは、何か?
「お願い営業」と対極にある「高飛車セールス」のススメ
がめちゃ参考になる。
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4. まとめ
行動経済学を学ぶことは、ビジネスにおいて顧客の行動や心理を深く理解し、意思決定や戦略立案に有利に働きます。一方、個人においても、行動経済学の知識があることで、より理性的で満足度の高い意思決定をする助けになります。
また幸福感の面においても、メカニズムを解き明かし、個人がより満足度の高い選択や行動を取るための指針を与えてくれます。
収入や物質的な豊かさだけではなく、感謝や自己決定、時間のゆとり、社会的比較の抑制など、幸福感に影響するさまざまな心理的要因を理解することが、幸福な人生を築くために役立ちます。