行動経済学とは、現在世界のビジネス界で最も注目されている学問です。行動経済学は、20世紀後半に登場した比較的新しい学問であり、心理学と経済学を融合させたものです。
この学問はビジネスに非常に役立つスキルであり、行動経済学を学んだ人材の求人がアメリカで急増しています。GoogleやAmazon、Netflixなどの大手企業が行動経済学の専門チームを設立しており、その注目度はますます高まっています。
本記事では、行動経済学の概要や具体的な使用事例、そして初心者でも楽しみながら学べるおすすめの本をご紹介します。これらの書籍を通じて、行動経済学を基礎から理解し、あなたのビジネス戦略に新たな視点を取り入れてみませんか?
1.行動経済学とは?従来の経済学とどうちがうの?
行動経済学は結論から言うと、人間の行動を理解するための学問と言えます。
経済学 + 心理学 = 行動経済学 となります。
・従来の経済学の前提
人間は、合理的に意思決定を行う経済人である。
常に最適な選択を行い、自分の利益を最大化しようとする。
・行動経済学の視点
人間は、情報や時間に制約がある中で意思決定を行うため、必ずしも最適な選択ができるわけではない。
従来の経済学 | 行動経済学 | |
---|---|---|
人間の定義 | 全知全能 (合理的な意思決定を常に 行う経済人) | 人間だもの (人間は非合理な決定を行う もの) |
呼び名 | ホモ・エコノミクス | ホモ・サピエンス |
従来の経済学では「人々はすべての価格と品質を比較して最も安くて質の良い商品を購入する」と仮定します。
しかし、行動経済学では「人々は広告や店舗の配置、商品の陳列方法などによって影響を受け、必ずしも最も合理的な選択をするわけではない」と考えます。
・具体例
とあるコーヒーショップのメニュー。
「この場合は、ベンティ1択じゃ。」
「なぜって?、1mlあたりの価格が一番お得だからじゃ。」
1mlあたりの価格
ショート1.55円、トール1.19円、グランデ0.98円、ベンティ0.85円
「うーん、トールかなぁ。 トール!」
「なぜって? なんとなく、そんな気分だから。」
このように従来の経済学では、人間の定義において、ズレがでてきています。
そこで、「リアルな人間の心理・行動に基づき、実際の経済活動を科学しよう」と行動経済学が誕生しました。もしお客様の「気分」をマネージメントできれば、消費者を誘導できることになります。
2.どんなところに使われている?~この世は行動経済学だらけ~
「気分をマネージメントする」ということは、どういう事でしょうか?
ここでは、2つの事例を紹介します。
・世界最高のサッカープレイヤーは、ロナウド?メッシ?
【タバコのポイ捨て対策】
イギリス・ロンドン中心部には、ユニークなゴミ箱が設置されています。
現代サッカー界の2大スター、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの名前が書かれています。
看板上部には「どちらが世界で最高の選手?」と書かれています。
【参照】日経クロストレンド>明日の話題に使えるIT小話>吸い殻でメッシに投票? 2つの目的を1個の仕掛けで解決する方法
・大阪環状線総選挙
【階段利用の推奨】
JR 大阪駅の御堂筋口から大阪環状線ホーム下の上り階段の左側を青色、右側を赤色とし、「天満派、福島派、アフター5に行くならどっち?」と掲出。階段上部にセンサーを取り付け、青色部分と赤色部分それぞれの通過者数を計測した。
階段利用を推奨し、混雑の原因となるエレベーター利用を減らすことが目的。福島駅と天満駅はそれぞれ環状線大阪駅の両隣で、会社員が「アフター5」に行きやすい目的地だ。
期間中、通常時と比べて1日あたりの階段利用者数は1342人増加した。
【引用】2019年11月号 販促会議
https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/201911/idea-techniques/017439.php
この事例は、行動経済学のナッジ理論になります。
ちょっとした「促し」で人の行動は劇的に変化します。
あなたのビジネスで、人が行動したくなる(あるいは止めたくなる)デザインや仕掛けを考えてみてはどうでしょうか?
3.行動経済学から見たわたしの行動~操られていたかも~
行動経済学を勉強すると、自分の行動が「操作されていたのでは?」と疑うことがあります。
わたしが住んでいる福岡(博多)には、おいしい焼き鳥屋さんがいっぱいあります。
わたしは、最初のオーダーで毎回注文してたかも。
おまかせの串盛り!
決めるのがめんどくさいので、
つい注文しがちです。
実は人気メニューで、お店側は
粗利を高く設定している可能性 があります。
このように、日常の行動が行動経済学の原理に基づいて影響されていることに気づくと、さらに興味深く感じますよ。
4.行動経済学の全体像(体型化された図)
わたしたちは、どのようにして「不合理な意思決定」をしてしまうのでしょうか?
それが体系化された図が、以下になります。
1.要因① 認知のクセ
人間の脳には、「情報の処理の仕方」に歪みがあり、これが「不合理な意思決定」につながっている。
2.要因② 状況
人間の判断は、周りの「状況」の影響を強く受けるということ。
3.要因③ 感情
上記の2要因に加え、人間の意思決定に影響するのが「怒り」「不安」等々
の「感情」である。
この3つの要因により、わたしたちは「不合理な意思決定」をしてしまうこととなっています。
【引用】行動経済学が最強の学問である 相良奈美香 著
序章 図表7本書の「行動経済学」の学び方 より
このブログでは、今後も行動経済学の理論を記事で紹介していくつもりです。その内容も上記の体系図に沿って行っていく予定です。
5.理解を深めることができる!超おすすめの本 厳選2選
行動経済学の本を10冊以上読んだわたしがおすすめの本、TOP2を紹介します!
どちらも大きな書店では、かなりの確率で平積みされていますし、初心者でも安心
して読み進められる分かり易さです!
◇「行動経済学が最強の学問である」相良奈美香 評価:★★★★★
現在、行動経済学関連書籍の中で、もっとも人気のある本のひとつだと思います。
「行動経済学の全体像(体系化された図)」で記載した図もこの本からの引用です。
主要な58の理論を、具体的な事例を交えたり、時には クイズで紹介したり、わかりやすく解説されています。
◇「行動経済学大全」中川功一 評価:★★★★★
経営学者であり、やさしいビジネススクール学長でもある著者が、行動経済学理論をいかにビジネスの場で「使いこなすか」まで含めて解説してある本。
1つの理論を、右ページ図解、左ページ解説文の構成でまとめてあります。
そのため、ランダムに興味ある理論をパラパラと拾い読みする事もできます。
6.まとめ
今回は行動経済学について簡単に紹介してきました。
行動経済学は、私たちの日常生活やビジネスにおいて非常に重要な学問です。
この記事を通じて、その基本的な概念や応用事例、さらに学びを深めるためのおすすめ書籍をご紹介しました。
これらの知識を活用して、あなたの日常の意思決定やビジネスの戦略に新たな視点を取り入れてみてください。